吉祥寺の文化施設「武蔵野公会堂」改修工事のため長期休館へ

2026年3月〜2027年10月頃の期間、武蔵野公会堂は大規模改修工事に伴い、休館します。2026年2月までは利用可能。

芸術文化や市民活動の発表の場などとして利用されてきましたが、開館から60年が経過し、設備の老朽化などにより建物を更新します。2027年度にリニューアルオープンを目指します。
※現時点、開館時期の詳細は未定

施設コンセプト

市民の芸術文化を支える創造・発信する武蔵野型改修建築

芸術文化の創造・発信の機能を拡充し、幅広い世代の多様な芸術文化活動や新しい表現の試みを可能にする施設を目指します。また既存のホールを機能的に拡充し、気軽に芸術に触れ合える場所を設けることで、懐かしくも新しい価値を持つ建築とします。

誰もが安全安心に利用できる施設

安全で誰もが安心して利用できるユニバーサルデザインに配慮した、使いやすく快適な施設を計画。バリアフリー化を徹底し、多目的室の設置やホール客席内の車椅子席の改善など、インクルーシブな空間を目指します。また、災害時の一時滞在施設としての機能も考慮し、耐震性能を高めます。

まちとつながり、気軽に立ち寄れる空間

吉祥寺駅南口から井の頭恩賜公園に至る経路上にあるため、まちの魅力を高め、市民や来街者に親しまれる施設を目指します。パープル通りの紫の外壁を残し、文化の香りが漂うゲートとして、多世代が安心して気軽に立ち寄れるようにし、かつ住宅地側の住環境にも配慮した計画とします。

具体的な改修内容のポイント

武蔵野公会堂改修等工事基本設計案(概要版) より

「武蔵野公会堂改修等工事基本設計案(概要版)(令和6年7月武蔵野市)」より、主な改修内容をまとめました。

  • 会議室棟・建物構造に関する改修
    • 既存の会議室棟を「スラブや外壁リブコンパネルの撤去」によって大幅に軽量化し、耐震性能 (Is値) を大幅に改善する
    • 解体範囲を最小限にし、解体費や工期の短縮、コストバランスに配慮
    • 新設部分の地下は鉄筋コンクリート造 (RC造)、上部構造はブレース付きの鉄骨造を採用
    • 安全性向上のため、減築や増築を含めた改修を実施
  • ホール(舞台や音響など)の改修
    • 舞台奥行の拡張や舞台裏動線・楽屋位置の見直しにより、演者・スタッフの利便性を向上
    • 天井・壁面の遮音性能を強化するため、側面ガラス建具の多重化や音響反射板の設置などを実施
    • 舞台機構をオール電動化し、舞台照明もオールLED化して安全性と省エネルギー性を高める
    • ホール客席は、1964年竣工当時の平土間・段床と現況の段床を組み合わせた新設計にし、音楽・演劇・講演会など多様な利用に対応
    • 車椅子席の配置を見直して視認性を改善
  • リハーサル室や会議室等の諸室に関する改修
    • 防音性能の強化により、リハーサルや練習が可能な会議室 (可動間仕切りで1室にも2室にも利用可) を整備
    • 楽屋利用を想定した部屋と活動室優先の部屋を分け、機能転換作業を軽減
    • 地下階に多目的室を新設し、防音性能を備えることで親子室としての利用も可能に
  • 全館のバリアフリー対応・動線改善
    • エレベーターを新設 (一般利用用+大型搬入用)
    • 段差部分はスロープを設置し、階段だけだった現状からバリアフリー化
    • 明快な動線計画により、観客・演者の分離や、安全な搬入経路を確保
  • まちとのつながりを生み出す外部空間の整備
    • 敷地内に「サンクンヴォイド」「サンクンシアター」「縁側ラウンジ」「アウターリビング」などの開放的空間を配置し、利用者以外も気軽に立ち寄れる場を創出
    • 通りに面した場所を緑化し、街路を歩く人が自然にアクセスできる設計
    • 住宅街との境界側には視線や騒音に配慮したルーバーなどを設置
  • 付帯設備・その他
    • ホール空調機や非常用発電機、受変電設備などは効率的かつメンテナンスがしやすい位置に集約
    • 必要台数を満たす駐車場・駐輪場を確保 (車いす利用や搬入などの専用区画を含む)
    • 老朽化した設備 (給排水・電気設備等) を適切に更新し、安定稼働を図る

<参考>武蔵野公会堂改修等工事基本設計案(概要版)(令和6年7月武蔵野市)