老舗和菓子店「吉祥寺虎屋 弁天通り店」工場併設の甘味処で味わう絶品栗蒸し羊かん

吉祥寺のヨドバシ裏、溶け込むように佇む老舗「吉祥寺虎屋 弁天通り店」。1947年創業、長きにわたり地元に愛され続ける和菓子の名店です。

階下は製造工場。そして売り場には甘味処「吉祥庵」が併設され、作りたての生菓子やお茶をその場で味わえる特別な場所。

「老舗の味をその場で」。贅沢を叶える場所へ行ってきた!

赤い和傘が迎える、趣たっぷりの空間

階段を上がり店内に入ると、まず目に入るのは大きな赤い和傘。木の温もりを感じるテーブル、掛け軸、そして竹細工や和紙の灯りが柔らかく照らす空間。見覚えのある景色がそこに。

かつて人気を博したサンロードの甘味処「吉祥庵」で使われていたインテリアや小物がここへ受け継がれており、あの頃の風情がそのまま蘇っています。

ほっと一息つけるこの空間には、まるで時間がゆっくりと流れているかのような静けさがあります。小さな旅館にでも迷い込んだような安心感。

老舗の技が光る生菓子ラインナップ

ショーケースを覗くと、目にも鮮やかな和菓子の数々がずらり。秋限定の「栗蒸し羊かん」や名物「吉虎どらやき」、上生菓子の「秋桜」「白菊」「もみじ」など、季節を映す繊細な品々が並びます。

1つひとつに手書きの札が添えられ、職人の息遣いが感じられる温かい演出。特に人気なのは、階下の工場で作り立てをそのまま運んでいる生菓子たち。ガラス越しに見るその艶やかさは、まさに芸術品のよう。

和菓子というより“季節そのもの”を閉じ込めたような美しさに、どれを選ぶか迷ってしまうほど。

今回は、その中から「栗蒸し羊かん(小)」(324円税込)、「わらび餅」(270円税込)を選び、お煎茶(330円税込)とともにいただきます。和菓子2品食べながら、お茶を飲んでも900円ちょい。

栗蒸し羊かんとわらび餅の二重奏

お盆の上に、朱の漆器、急須、湯呑み、そして二つの和菓子。思わず背筋が伸びるわ。

茶釜の湯気を思わせる温かい香りに包まれながら、まずは栗蒸し羊かんから。

包みを開くと、ふっくらとした羊かんの中に、大ぶりの栗がごろり。柔らかくもしっかりとした弾力。口に含んだ瞬間、栗の甘みが広がり、後から優しいこしあんの風味が追いかけてきます。「甘すぎない」。しっとりとした舌触りと、上品な余韻。職人の火加減と素材の良さが伝わってくる。はぁ美味しい。お茶がすすむ。

続いて、きなこの香りがふんわりと漂うわらび餅。

ぷるぷると揺れるその姿に、思わず見惚れてしまう。箸を入れると、やわらかさの中に弾力があり、もっちりとした手応え。口に入れた瞬間、とろりとほどけて消える。きなこの香ばしさが主役。中の甘すぎないこしあんとの相性が抜群で、素材の味を最大限に生かした“和のミニマリズム”ですな。

お煎茶は甘みの後にほんのり苦みがすっと広がり、口の中がリセットされる。甘味と渋味のリレーを楽しむ心地よさよ。

羊かんとわらび餅の甘みをやさしく締めくくる、名脇役のような存在でした。あぁ、日本人でよかった。

ひと息つける“和の時間”を。

店舗概要

店名 吉祥寺 虎屋 弁天通り店
営業時間 10:00~18:00
定休日 水曜日
TEL 0422-20-2283
住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-29-4
地図
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禁煙・喫煙 完全禁煙